やわらかな遺伝子 

やわらかな遺伝子
マット・リドレー
紀伊国屋書店
2004-04-28



ヒトゲノム計画(2003年4月解読完了)により、ヒトゲノムに含まれる遺伝子数は約3万個であることが分かりました。

この計画以前には、ヒトゲノムの遺伝子数は10万個以上と予想する科学者もいたようなので、判明したその数の少なさに発表当時は大きな衝撃を与えました。

ちなみに最新の推定値は2万1787個(「Nature」2004年10月)とされ、更に少なくなっています。

ヒトの遺伝子を解明しようとする動機としては、昔から「生まれ」か「育ち」か(Nature vs Nuture)が激しい論争の的となってきたことが挙げられます。

ヒトは、「生まれ」つまり遺伝子で決まってしまうのか、それとも「育ち」つまり環境や生活習慣で決まっていくものなのでしょうか。

それぞれの理論を支持する人達はしばしば両極端な立場(遺伝決定論者と環境決定論者)を取ってきました。

しかしながら、本著者のマット・リドレーは、「生まれ」か「育ち」か(Nature vs Nuture)という二項対立の図式は誤りであり、「遺伝 対 環境」の時代は終わりを告げたのだといいます。

「生まれ」は「育ち」を通して(Nature via Nuature)決まっていくものだと(相互作用論)。

遺伝子はまだまだ分かっていないことが多くありますが、著者のバランスの取れた視点を通じて、遺伝子と環境との関係について理解するのにはとても良い本だと思います。

原著:

Nature Via Nurture
Matt Ridley
Fourth Estate
2003-11-03


残り1名となりました。前のページ

イカの神経 ヒトの脳みそ次のページ

ピックアップ記事

  1. 【御礼】創立4周年
  2. 【増刷決定】「組織が結果を出す」非常識でシンプルなしくみ
  3. 脳の中の身体地図
  4. 【開催まで後2週間】第3回『Liberty Cinema Club』あるエピソ…

関連記事

  1. 『つぎはぎだらけの脳と心』 いい加減な脳の設計

    つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらした…

  2. マジックにだまされるのはなぜか 「注意」の認知心理学 

    マジックにだまされるのはなぜか 「注意」の認知心理学 (DOJIN選書…

  3. お知らせ

    【8月4日開催】コーポレートコーチング出版記念セミナー

    リバティーコーチング代表の田島大輔のセミナー情報です。この度、8月…

  4. 『なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか』記憶のエラーが起きる仕組み

    なぜ、「あれ」が思い出せなくなるのか―記憶と脳の7つの謎 (日経ビジネ…

  5. 『脳のなかの幽霊』神経疾患患者の奇妙な症状

    脳のなかの幽霊 (角川文庫) V. S. RamachandranWi…

アーカイブ(年別)

  1. コーチ養成講座

    【11月16日(土)開催】コーチングセミナー&説明会「苫米地式コーチング認定コー…
  2. コーチング

    【TPIE4月東京】お申し込みが始まりました
  3. コーチング

    【TPIE東京】より良い自分
  4. コーチング

    【TPIE】ある日突然扉は閉められる
  5. コーチ養成講座

    コーチングセミナー&「TICEコーチ養成講座 」説明会
PAGE TOP