危機における心理
米疾病予防管理センター
セクションの概要
- 危機の間に一般的に起こる人の負の感情や行動
- 危機の時の情報伝達方法の違い
- 緊急時におけるリスクコミニュケーションの原則
危機における心理
人の感情は、過剰な反応に対応しなければ、回復の妨げになったり更に危害をもたらすような好ましくない行動(反応)を取ることに繋がる可能性がある。
好ましくない行動(反応)とは
- 不必要な治療を求める
- 特別な関係に依存する
- 不必要に商業取引と渡航を制限する
- 複数の医学的に原因不明の身体症状が現れる
危機発生時や危機が迫る時において、人が内面で感じること
- 否認
- 恐怖と回避
- 絶望感や無力感
- 代理リハーサルを行う
- 時折パニック状態になる
代理リハーサルとは?
- 情報化時代は国民に他の地域の災害を疑似体験する機会を与える。このような仮想の被害者は、頭の中で災害時に推奨されている取るべき一連の行動のリハーサルを行う。
- 人は実際の脅威から遠ければ遠いほど推奨されている行動を取ろうとはしない。
- これらの直接の被害者でない人達の行動が事態の回復や対応を遅らせてしまうことがある。
危機の時に異なることは何か?
危機の時における情報伝達方法の違い
緊急時に「闘争・逃走反応」が起こる場合は、より情報が多いほど不安感を減少させる。
危機の時の意思決定方法の違い
- 人は情報を単純化する
- 現在の信念に執着する
- 過去に見たものや経験したことを思い出す(最初に得た情報がより影響力を持つ)。
危機の時には初めにどのように情報伝達すべきか?
- 分かりやすく
- タイムリーに
- 正確に
- 繰り返し
- 確実に
- 一貫した情報
(を伝える)
緊急時にはリスクについてどのように情報伝達すべきか?
全てのリスクが同じように受け入れられるわけではない
- 自主的 対 非自主的
- 個人のコントロール下 対 他者のコントロール下
- 親しみがあるか 対 珍しいものか
- 自然 対 人為的
- 可逆的 対 永続的
- 統計的 対 実例的
- 均等な分布 対 不均等な分布
- 子供に影響を与える 対 成人に影響を与える
リスク比較には注意が必要
- (リスクは)以下のどの項目に基づいたものか
- 危険性の 高/低
- 侵害性の 高/低
- 例を示す
- リスク受容の土台
リスク受容の例
- 落ちてきたココナツの実にあたり死亡するか、サメによって死亡するか
- 自然 対 人為的
- 均等な分布 対 不均等な分布
- 身近か 対 異例か
- 自身のコントロール下にある 対 自身のコントロール外にある
緊急時におけるリスクコミュニケーションの原則
過度の安心感を与えない
- 過剰に安心させる発表をするべきか否かは賛否両論がある。
-
危害を過少に見積もり上方修正するより、
過剰見積もりされた危害を下降修正する方が受け入れやすい。
緊急時におけるリスクコミュニケーションの原則
安心させる最新情報に先立って、継続的に懸念を示す
「危険な状態を完全に免れてはいないが、今週は日々被害件数が減少している」
緊急時におけるリスクコミュニケーションの原則
確信 対 不確実性
結果を約束するよりも、
緊急時におけるリスクコミュニケーションの原則
人にすることを与える- 行動することによって不安が和らぎコントロール感を取り戻せる。
- 象徴的な行動(例:ろうそくを灯し徹夜の祈りを行う)
- 準備行動(例:水や乾電池の購入)
- もしもの事態の時にとる行動(例:家族との緊急連絡の取り方のプランを作る)
緊急時におけるリスクコミュニケーションの原則
人にすることを与える- 行動することによって不安が和らぎコントロール感を取り戻せる。
- 身の安全確保のための唯一最も重要な行動
- 3段階の行動計画を推奨する
- Xをしなければならない
- Yをするべきである
- Zもできる
緊急時におけるリスクコミュニケーションの原則
人が恐怖心を持つことを認める
- 政府は恐れを感じていないように装うべきでない。国民にも恐怖心を持つべきではないとは伝えてはいけない。
- 恐怖を認め、文脈情報を提供する。
【出典】『Psychology of a Crisis』 CDC(Centers For Disease Control And Prevention)
【参考】更に内容を知りたい場合は次を参照(英語)
・「CERC: Psychology of a Crisis」 2019 updated
・The Psychology of a Crisis ? How Knowing This Helps Communication (ERC CDCynergy Essential Principle module)